こんにちは、齋藤です。

世の中には遺伝子レベルで不安や恐怖に襲われやすい人がいる。

そんな研究結果があるそうです。

しかも日本人のほとんど全員がそうであるらしい。

そんな話を聞いてあなたはどう思われますか?

日本人は遺伝子レベルで悲観主義である説

セロトニントランスポーター遺伝子というをご存じでしょうか?

不安遺伝子、恐怖遺伝子とも呼ばれたりします。

簡単に説明すると、セロトニンは精神の安定に関わる神経伝達物質で、これが不足すると不安や恐怖を覚えます。

このセロトニンを運ぶ役目を担う物質がセロトニントランスポーターです。

トランスポーターは「運び屋」という意味です。同名の映画もありましたね。ジェイソン・ステイサム主演で。

このセロトニントランスポーターがどのくらいセロトニンを運ぶか。これ決めているのがセロトニントランスポーター遺伝子です。

この遺伝子は長いタイプと短いタイプがあり、長い方がS型、短い方がL型という名前です。

どちらを持っているかは人によって異なります。

遺伝子は両親から1つずつ受け継ぐので、セロトニンを決める遺伝子の組み合わせは3パターンになります。

SS型(どちらも短い)
SL型(短いのと長いのが1つずつ)
LL型(どちらも長い)
この3つです。

S型はL型よりもセロトニントランスポーターを生み出す数が少なく、したがってセロトニンの分泌量も少なくなります。

冒頭にも説明したように、セロトニンが少なくなると不安や恐怖を覚えやすくなります。

つまりS型を多く持っている人は、生まれつき慎重でネガティブになりやすい。

一方でL型を多く持っている人は、生まれつき楽観的でポジティブになりやすい。

ということになります。

で、調査によると、S型遺伝子を持っている人の数が世界的に見て日本人が圧倒的に多いらしいんですね。

割合でいうと、SS型が68.2%、SL型30.1%、LL型が1.7%だそうです。

つまり日本人の約98%がS型遺伝子を保有しており、遺伝的に不安になりやすいということになります。

ちなみにアメリカ人は、SS型が18.8%、SL型が48.9%、LL型が32.3%だそうです。

明確な差が見て取れますね。

 あなたは本当に遺伝子レベルで不安体質なのか

あなたは本当に遺伝子レベルで不安体質なのか
この研究結果を見てどう思われましたか。

「ああ、私は遺伝子レベルでネガティブなのか。どうにもならないのか。」

と不安に駆られたでしょうか。

「何だ、自分が神経質なのは遺伝子のせいだったのか。かえってスッキリした!」

と開き直る方もいるかもしれませんね。

で、ここまで書いておいてなんですが、あなたがどの型なのかはあまり重要ではありません。

そもそも人格形成には他の遺伝子の要素や生活環境などさまざまな要素が絡んでいるため、セロトニントランスポーター遺伝子が民族性や個人の性格の大部分を決めるという説自体が疑問視されています。

また日本人のサンプルが地域的に限定されすぎているため、その調査結果を日本人全体の傾向として当てはめるのもムリがあるという話もあります。

仮にトランスポーター遺伝子が人格形成に大きく影響するとしても。あなたがSS型かどうかは検査しない限り判断しようがありません。LL型だという可能性だって十分にあるのです。

「私は人よりネガティブな発言をすることが多いし、心配性だねとよく言われるからきっとSS型だ」と考える方もいるかもしれません。

しかしあなたが人より不安を感じやすいかも証明のしようがありません。

普段人一倍明るく振る舞っている人があなたより不安を感じている可能性もあります。

太宰治の『人間失格』のように、明るく振る舞うことが生きていく上で効果的だと考えているだけかもしれません。

私もセミナーをする時かなりナーバスになりますが、そうは見えないとよく言われます。

それは、笑顔でいることが人と接する上で大切だと感じ、実践しているだけだからです。

つまり、自分が普段どう感じているかでは、遺伝子レベルであなたが不安体質かは判断できないのです。

ネガティブ思考でも結構!それを活用していけばいい

「いや、きっと私はSS型だ。実際にしょっちゅう不安を感じている。他人は関係ない。」

そう考える人もいるかもしれません。それはそれでオッケーです。実際そうかもしれませんしね。

ただ大事なのはあなたがポジティブ思考かネガティブ思考かということではありません。その思考を人生でどう活かしていくかということです。

もし不安を覚えることが多いという自覚があれば、その不安を利用してやればよいのです。

不安を覚えるからこそ、人はあらゆる可能性を予測し、備え、安全に過ごすことができます。

あなたが人一倍心配性だからこそ回避できる問題もあるでしょう。その長所は周りの人を救うことだってあるのです。

L型ポジティブ思考の人は、物事に対して問題点を深く検討しないかもしれません。これはある意味では長所ですが短所でもあります。

たとえばギャンブルでも「次は勝てるさ」と安易にお金をつぎ込んでしまうかもしれません。

そんな彼らを踏みとどまらせ、起こりうる悲劇から救えるのは慎重に考えるいわゆるS型の人です。

そして彼らから感謝される時あなたは少し幸せになれるでしょう。

人は周囲の人間と関係を持ち、その中で自分が役に立つ存在であると感じた時に幸福を実感できるからです。

最悪なのは「どうせネガティブ思考だから何をしても幸せになれないんだ」と、コンフォートゾーンで手に入る安心で満足し、本当に求めている「理想のあり方」を放棄してしまうことです。

人は環境に触れ、対処し、順応することで感情を上書きすることができます。

免許取り立ての時は公道に出るのが不安で仕方がなかった人でも、さまざまな場面に遭い、その度に対処方法を覚え、経験を積むことで、さしたる不安もなく車を使いこなすベテランドライバーへと成長していきます。

S型の自覚がある人だって、今現在不安なく生活できる環境や活動がまったくないわけではないでしょう。

そこで気を楽にして過ごせているのは、意識的にしろ無意識的にしろあなたがそれに適応してきた結果です。

自信が抱く不安を生かし、物事に備え、解決する。この繰り返しがあなたのコンフォートゾーンを広げ、理想の人生に向けて一歩前進していくことになります。

自分の思考を踏まえた上で理想に向かってどう一歩踏み出すか。

大事なのはこれを常に考えていくことです。