こんにちは、齋藤です。
以前の記事でピアノの練習を習慣化したら思わぬ感動に出会えたみたいな話をしたのですが。
よく考えたら、このブログを読んでくれる方は
どうやってピアノの練習を習慣化したのか
ということの方が断然気になるのではないかということに気付きました。そりゃそうです。
そこで、今回は私がピアノの練習を習慣化させた方法をご紹介したいと思います。
ピアノに限った話ではないのですが、特にスキルを高めるようなことを新たに始めると、なかなか習慣化しづらいケースになりやすいです。
資格の勉強しかり、英会話しかり、スポーツしかりです。
これらは、いわゆる「塵も積もれば山となる型」と呼ばれるタイプの行動だからです。
だから、習慣化するには一工夫してあげる必要があるのです。
プレマックの原理
ここで紹介する方法はプレマックの原理という行動原理を応用しています。
プレマックの原理とは、
低頻度行動に高頻度行動が随伴すると低頻度行動の生起頻度が増加する
という行動原理です。
大分画数が多い文章になってしまいました。
もっと簡単かつ習慣マネジメント風に翻訳すると、
習慣化していない行動の後に、習慣化している(好きな)行動ができるように環境を整えると習慣化していない行動が習慣化しやすくなる
というものです。
これは好子出現の強化という行動原理を応用した方法です。
この法則を使ったケースは、子どもの教育でよく見られます。
例えば、
「宿題やったら遊びに行って良いわよ」
「部屋を片付けたらゲームさせてあげる」
「ハンバーグは野菜の後に食べなさい」
などがプレマックの原理に該当します。
子どもに使う方法だと侮るなかれ。
方法をキチンとデザインできれば、大人にも十分活用でき得る習慣化の方法です。
実際の習慣化方法
では、私が実践した方法をご説明します。
私にとってはピアノの練習は低頻度行動、つまり習慣化していない行動でした。
なので、ピアノの練習をすることで何か好きなことができるようルールを作ることにしました。
私は世代的にテレビゲームと一緒に育ったような節がありますので、今でも時々ゲームをします。好きなジャンルはアクションとRPGです。どうでもいいですね。
ともかく、このゲームをするという行動を高頻度行動、つまりご褒美に設定しました。
ピアノの練習をすれば、ゲームで遊んで良いというルールを作ったのです。
もちろん、この原理を応用する際は必ずしもゲームでなくても構いません。
あなたが好きな行動であれば、遊びに行くでも、飲みに行くでも、テレビを観るでも、マンガを読むでもOKです。
ただ行動する度に報酬として提示できるものであることが大切です。
行動は、その行動を起こしてからできるだけ早く好ましい結果が伴う方が習慣化しやすいからです。
なので、例えば旅行に行くというのをご褒美にするのはあまり適切ではないでしょう。
筋トレする度に旅行に行くなんていうのはちょっと現実的ではないですから。
加えて、どれだけ行動すればどれだけの報酬が獲得できるのか、具体量もしっかりと設定しました。
後述しますが、このバランス設定も非常に重要となります。
報酬は時間で設定しても、金額で設定してもいいでしょう。
私の場合は、ピアノの練習を10分するたびにゲームを30分できるというルールにしました。
1時間練習すればゲーム3時間です。
1日1時間も練習できれば上出来ですし、ゲームも3時間できればお腹いっぱいです。
プレマックの原理の実践結果
そして、このルールを実践してみた結果が以下の通りです。
記録開始日からの累積の練習時間をグラフにしています。ですので必然的に右肩上がりになっています。
縦の点線を境にして、前が単純に練習時間を記録しただけの期間、後がプレマックの原理を導入した期間、つまりご褒美にゲームを設定した期間です。
ちなみに、記録を取る前の練習時間はまったくのゼロでした。
ただ記録を取るだけでも自己監視が働くため効果が出ることもあるのですが、プレマックの原理を導入した後は累積時間の上昇度が導入前より急になっていることが確認できます。
山に例えるなら、導入前がトレッキングコースで、導入後はガチの登山コースって感じです。
現在もこのプレマックの原理を利用しています。
その甲斐あってか、用事があって練習しないことがあっても2日以上練習を休んだことはありません。
上達は少しずつですが、歩き続けることはできています。
プレマックの原理の注意点
プレマックの原理を導入する際に注意するべき点が1つあります。
ルールをシビアにし過ぎないということです。
その理由は自分で自分にルールを課しているからです。
つまり、絶対的な強制条件ではないということです。
親が子どもしつける時は、ご褒美を親が管理することで行動をコントロールできます。
ですから、この方法は協力者がいる方がより成功確率が高くなると考えられます。
ケースによっては高いハードルを設定しても良いでしょう。
一方、自分一人で行う場合は自身で行動もご褒美も管理しなければなりません。
ですから、あまりにストイックな設定にすると、低頻度行動、つまり習慣づけたい行動を無視してご褒美を獲得してしまう可能性があります。
これは回避行動と呼ばれる行動原理です。
たとえば、10分ゲームをするにはピアノの練習を1時間しなければならないルールにした場合はどうでしょうか。
これだと、行動に対するご褒美があまりにも少ないことがわかります。
ゲームを1時間するのに、練習が6時間も必要なわけですから。
こうなると、ゲームをするためにもっと楽な方法、つまりピアノの練習をすっとばしてテレビの前に座りゲームの電源を入れる選択をしてしまう可能性が高くなります。
そうならないためにも、両者のバランスを上手く取ることが大事なのです。
具体的に低頻度行動と高頻度行動のバランスをどのように設定したら良いか。
残念ながら、これはケースによって様々です。
その人にとって低頻度行動がどれだけ負荷のかかるものなのか、高頻度行動がどれだけのメリットになりうるのかによって異なるからです。
目安としては「これをしないとできないんだ」と感じる程度よりも、「これくらいだったらやってやるか」と思えるバランスに調整することが大事です。
実際には、試行していく中で調整していくことが大切になるでしょう。
まとめ
・習慣化していない行動の後に習慣化している(好きな)行動ができるようルールをつくると、行動が習慣化しやすくなる。(プレマックの原理)
・両者の行動のバランスが大事である。シビアになり過ぎないように気を付ける。
体感的な感覚で申し訳ないのですが、自分のやりたいことのためにノルマをこなしていくと、さながらお金を稼いでいるような感覚になります。
やりたいことのために活動するという点では、本質的にはお金と稼ぐことと似たような性質を持っているからかもしれません。
「やらなきゃ」と思って重い腰を上げるよりも楽しいのでオススメです。